After forest fire in Australia
その後、オーストラリアの森林火災で被災した動物たちはどうなったのか?
それを知ることが出来る番組が、先日NHKで放送されました。
テリクロオウムの生息地はオーストラリアのカンガルー島。
もう既に本土では絶滅して、辛うじてカンガルー島に残っており、一時160まで減った個体が400まで回復していました。
人口的に巣箱を設置して繁殖を促しています。
ところが、2019年末からの森林火災で、2週間で島の半分近くが焼け野原となり、クロオウムの食餌であるモクマオウの木も相当数灰と化してしまいました。
これは、モクマオウの実のみを食べて生きているテリクロオウムにとっては死を意味します。
モクマオウの球果(おそらく中の種を食べている)を食べるテリクロオウム。
焼け焦げたモクマオウの球果。
幸い、現地でテリクロオウムを追い続けている写真家によって20羽程のテリクロオウムが目撃されました。
モクマオウが燃え残った島の隅で元気に暮らしていました。
西は消失、残ったのは東側のみ。
モクマオウの球果を食べるテリクロオウム。
雨が降り火災は次第におさまってはきましたが、、、
地球は気候変動による気温の上昇と乾燥によって一変。
大規模火災が相次いでいます。
以前より火の手が早く、木のてっぺんまで燃え尽くされます。
オーストラリアでは、今回の火災で10万平方キロメートルの森林の20%が失われました。
今後、気候変動に歯止めをかけない限りブラック・サマー(※)の到来は避けられないでしょう。
(※) 2019~2020年の夏に起きた大規模森林火災をオーストラリアでは「ブラック・サマー」と呼ぶ。
今、地球規模で、森林と野生動物保全のための総合的なアプローチが必要となっています。
その一つが、
先住民アボリジニに昔から伝わる考え方から学ぶこと・・・
火は人間が生きる上で欠かせない仲間。
温もりを与え、食事や工芸品を作る助けになり、儀式の一部でもあります。
火は人間が相手にして戦う対象ではありません。
アボリジニの人々は、土地の管理法を人々に伝えています。
それが野焼きです。
要となる木の根元で敢えて着火。
炎の熱が木の根元を煽ることがありません。
反対に此処を発火点として木から遠ざけます。
野焼きは、夏場の森林火災を勢いつける下草をなくします。
それぞれの生態系において最適な時期にゆっくりと燃やすことで、火は優しく広がり、健康な木を保存し、生き物を逃がします。
木を知り、一帯にどのような生き物が暮らしているかを知ることが重要なのです。
例えば、つげの土地を焼いたとしたら、1〜2ヶ月後にユーカリの土地を焼く。
火はひとつ前に焼いたつげの土地にたどり着くので、燃料がなくなり自然に消えます。
時期をずらした野焼きによって多様な植物が育ち、動物達に隠れ家をもたらします。
大地は、単に山や丘、川などにとどまらず、そこにある全てを含みます。
木や草、昆虫や蛇、人間に至るまで全ての生き物に決められた場所と意味があります。
野焼きの効果で、この15年で森林火災による被害面積が50%近く減りました。
気候変動がもたらす地球環境の変化に対応するために、最新の科学から先人の知恵まで人間の叡智の全てを結集しなければなりません。